2025/4/19

エクセルで変動係数(CV)の簡単な求め方【コピペですぐに使える】

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はじめに

エクセルには、変動係数(CV, Coefficient of Variation)を算出する専用の関数は存在しません。 そこで、既存の関数を用いて算出する手順を紹介します。

下にサンプルのセルデータがあるので、 コピペですぐに使用できます。

変動係数とは

変動係数とは、 平均値を基準とした バラツキの大きさを示す指標です。 データの標準偏差を平均値で割ることで計算されます。

いつ使うのか?

変動係数は、

  • 値のスケール(平均値)
  • 単位

のいずれかが異なるデータ間で、 バラツキを比較するために使用される ことが多いです。

標準偏差そのものもバラツキを表す指標ですが、 平均値が大きく異なるデータ同士や、 単位の異なるデータ同士で標準偏差を比較しても、 あまり意味がありません。

そこで、標準偏差を平均値で割ることで、 スケールを一定にし、 単位を無次元化したバラツキの値(変動係数)が使用されます。

エクセルでの算出方法

以下の 全セルをコピー ボタンをクリックし、エクセルの A1 セルに貼り付けると、 D6 セルに変動係数(下記の場合 0.497776119)が算出されます。

A 列のデータを書き換え、 データ数に応じて D3, D4セルの数式中の参照セルを書き換えることで、 各自のデータにあわせて計算できます。

ABCDE
1データ
2X
32平均=AVERAGE(A3:A7)
45標準偏差=STDEV.S(A3:A7)
59
64変動係数=D4/D3
76
8
9
10

算出手順

エクセルで変動係数を算出するための手順は、以下の3つです。

1. データ列の平均値を算出

AVERAGE 関数を使用して、データ列の平均値を算出します。

AVERAGE関数

引数の範囲のすべてのデータの平均値を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、平均値の算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。

例:AVERAGE(A3:A7)

  • 第1引数 (A3:A7): 評価するデータの範囲(必須)
  • 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)

2. データ列の標準偏差を算出

STDEV.S 関数を使用して、データ列から標準偏差を算出します。

STDEV.S関数

引数の範囲のすべてのデータの不偏標準偏差を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、標準偏差の算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。

例:STDEV.S(A3:A7)

  • 第1引数 (A3:A7): 評価するデータの範囲(必須)
  • 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)

STDEV.S関数か?STDEV.P関数か?

エクセルには、標準偏差を算出する以下の2つの関数が存在します。

  • STDEV.S 関数: 不偏標準偏差を算出(標本 から 標準偏差を予測)
  • STDEV.P 関数: 標準偏差を算出(母集団 から 標準偏差を直接算出)

多くのデータは母集団の一部である 標本 (サンプル)のデータ、
かつ、そこから母集団のバラツキを推定したいことが多いため、
STDEV.S 関数が適しているケースが多いです。

ただし、データが 母集団全体 である場合は、
STDEV.P 関数を使用します。
(例:製造品の全品データ、学校のクラス全員のデータなど)

3. 1と2の値を使って変動係数を算出

1で求めた 平均値 を使って、 2で求めた 標準偏差 を割ることで、 変動係数が算出されます。