2025/8/1

三角関数での角度・辺の長さの計算式まとめ【エクセル】

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はじめに

三角関数や逆三角関数を使うことで、 直角三角形の「辺の長さ」や「角度」から、他の「辺の長さ」(または「角度」)が算出できます。

ここでは、 エクセル関数を使って直角三角形の「辺の長さ」または「角度」を求める数式 をまとめました。
内容はは以下の通りです:

  • ラジアンと度の変換方法
  • 辺の長さ・角度の計算式のまとめ表

エクセルの三角関数と逆三角関数は、角度をラジアンで扱うため、 最初に補足事項として、角度の単位変換について触れます。

角度の度とラジアンの変換

角度の表現方法には ラジアン の2つがあります。
日常的には の方が感覚的にわかりやすいですが、 エクセル関数の SIN, COS, TAN, ASIN, ACOS, ATANはラジアンを使って計算されるので、 ラジアン の変換が必要になります。

エクセル上で、 から ラジアン またはその逆へ変換するには、次のいずれかを行います:

  • RADIANS / DEGREES関数を使用する。
  • PI()/180を掛ける / 割る。

数式の例は以下の通りです。

変換方向数式例計算結果
ラジアン=RADIANS(30)=π/6= \pi/6
0.52 \approx 0.52
=PI()/180 * 30
ラジアン =DEGREES( PI()/6ラジアン )=30 = 30^{\circ}
=180/PI() * PI()/6ラジアン

以降の例では、RADIANS / DEGREES関数を使用しています。

辺の長さ・角度の計算式

三角関数や逆三角関数、ピタゴラスの定理を使用し、 直角三角形の「辺の長さ」または「角度」を求めるエクセルの数式のまとめです。

最初に、まとめ表で使用する 直角三角形の各辺・角度の名称と数値例を定義しておきます。

直角三角形の辺・角度の名称

ここでは、 直角三角形の各辺・角度の名称 を以下の通りとします。

斜辺c (=2)斜辺c (=2)角度Θ (=30° =π/6 ≒ 0.52)角度Θ (=30° =π/6 ≒ 0.52)底辺a (=√3 ≒1.73)底辺a (=√3 ≒1.73)高さb(=1)高さb(=1)

数値の例として、 a=3a=\sqrt{3}, b=1b=1, c=2c=2, θ=30=π/60.52\theta=30^{\circ}=\pi/6\approx0.52 の直角三角形を使用します (底辺aaは、3\sqrt{3}の近似値1.73 を計算に使用)。

計算式のまとめ表

直角三角形の「辺の長さ」「角度」を算出するエクセル数式の例のまとめ表 です。
底辺 , 高さ , 斜辺 , 角度 の4つのうち、 2つを使って残りの算出ができます

入力値計算値計算式数式例 (度)数式例 (ラジアン)計算結果 ※
高さbb と 斜辺cc ccΘΘaabb底辺aa ccΘΘaabba=c2b2a = \sqrt{c^2 - b^2}=SQRT( 2斜辺c^2 - 1高さb^2 )-1.73 \approx 1.73
高さbb と 角度θ\theta ccΘΘaabba=b/tanθa = b /\tan\theta= 1高さb / TAN( RADIANS(30)角度Θ )= 1高さb / TAN( PI()/6角度Θ )
斜辺cc と 角度θ\theta ccΘΘaabba=ccosθa = c \cos\theta= 2斜辺c * COS( RADIANS(30)角度Θ )= 2斜辺c * COS( PI()/6角度Θ )
底辺aa と 斜辺cc ccΘΘaabb高さbb ccΘΘaabbb=c2a2b = \sqrt{c^2 - a^2}=SQRT( 2斜辺c^2 - 1.73底辺a^2 )-1.00 \approx 1.00
底辺aa と 角度θ\theta ccΘΘaabbb=atanθb = a \tan\theta= 1.73底辺a * TAN( RADIANS(30)角度Θ )= 1.73底辺a * TAN( PI()/6角度Θ )
斜辺cc と 角度θ\theta ccΘΘaabbb=csinθb = c \sin\theta= 2斜辺c * SIN( RADIANS(30)角度Θ )= 2斜辺c * SIN( PI()/6角度Θ )=1.00 = 1.00
底辺aa と 高さbb ccΘΘaabb斜辺cc ccΘΘaabbc=a2+b2c = \sqrt{a^2 + b^2}=SQRT( 1.73底辺a^2 + 1高さb^2 )-2.00 \approx 2.00
底辺aa と 角度θ\theta ccΘΘaabbc=a/cosθc = a / \cos\theta= 1.73底辺a / COS( RADIANS(30)角度Θ )= 1.73底辺a / COS( PI()/6角度Θ )
高さbb と 角度θ\theta ccΘΘaabbc=b/sinθc = b / \sin\theta= 1高さb / SIN( RADIANS(30)角度Θ )= 1高さb / SIN( PI()/6角度Θ )=2.00 = 2.00
底辺aa と 高さbb ccΘΘaabb角度θ\theta ccΘΘaabbθ=arctan(b/a) \theta = \arctan(b/a)=DEGREES( ATAN( 1高さb / 1.73底辺a ) )=ATAN( 1高さb / 1.73底辺a )30.03\approx 30.03^{\circ}
(π/60.52) (\approx \pi/6 \approx 0.52 )
底辺aa と 斜辺cc ccΘΘaabbθ=arccos(a/c) \theta = \arccos(a/c)=DEGREES( ACOS( 1.73底辺a / 2斜辺c ) )=ACOS( 1.73底辺a / 2斜辺c )
高さbb と 斜辺cc ccΘΘaabbθ=arcsin(b/c) \theta = \arcsin(b/c)=DEGREES( ASIN( 1高さb / 2斜辺c ) )=ASIN( 1高さb / 2斜辺c )=30.00= 30.00^{\circ}
(=π/60.52) (= \pi/6 \approx 0.52)

==\approx の違いは、計算精度の違いを示しているわけでは ありません (計算精度自体に差はない)。 入力値に近似値 (1.7321.73 \approx \sqrt{2}) を使用しているか否かによって違いが生じているだけです。