2025/4/25

エクセルで偏相関係数の簡単な求め方【コピペですぐに使える】

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はじめに

エクセルには、偏相関係数を直接算出できる専用の関数は存在しません。 そこで、CORRELSQRT 関数を組み合わせて算出する手順を紹介します。

下にサンプルのセルデータがあるので、 コピペですぐに使用できます。

偏相関係数とは

偏相関係数は、第3の変数の影響を排除しつつ、2つの変数間の相関を評価できる統計量です。

定義式

偏相関係数(Zの影響を排除した、X-Y間の相関):

rXY.Z=rXYrXZrYZ1rXZ21rYZ2r_{XY. Z} = \frac{r_{XY} - r_{XZ}r_{YZ}}{\sqrt{1 - r_{XZ}^2}\sqrt{1 - r_{YZ}^2}}
  • rXYr_{XY}: XとYの相関係数
  • rXZr_{XZ}: XとZの相関係数
  • rYZr_{YZ}: YとZの相関係数

いつ使うのか?

XとYのデータ間の相関をみるときに、第3の因子Zの影響を排除したい場合に使用します。 これにより疑似相関がみられる可能性を排除しつつ、XとYの間の相関を評価できます。

疑似相関とは

XとYに 直接的に相関がなくても、 X、Yの両方と相関のあるZが存在すると、
XとYに 相関があるようにみえます。 これを 疑似相関 と呼びます。

Z - X : 相関あり
Z - Y : 相関あり
 ↓
X - Y : 相関があるようにみえる(疑似相関)

偏相関係数の意味

偏相関係数 rXY.Zr_{XY. Z} は、 変数Zの影響を排除した、XとYの間の相関を示します。 通常の相関係数と同様に、 値は-1 ~ 1の範囲で表されます。

  • 1: 完全な正の相関
  • -1: 完全な負の相関
  • 0: 相関なし

エクセルでの算出方法

以下は、Zデータの影響を排除した、X-Yデータ間の偏相関係数を算出するサンプルです。

全セルをコピー ボタンをクリックし、エクセルの A1 セルに貼り付けると、 G8 セルに偏相関係数(下記の場合 0.497194123)が算出されます。

A ~ D列のデータを書き換え、 データ数に応じて G3, G4, G5セル中の参照セルを書き換えることで、 各自のデータにあわせて計算できます。

ABCDEFGH
1データ
2ラベルXYZ相関係数
3a812715(X,Y)=CORREL(B3:B7, C3:C7)
4b2435030(X,Z)=CORREL(B3:B7, D3:D7)
5c1823328(Y,Z)=CORREL(C3:C7, D3:D7)
6d3156633
7e1862520偏相関係数
8(X,Y). Z=(G3-G4*G5)/(SQRT(1-G4*G4)*SQRT(1-G5*G5))
9
10
11

算出手順

エクセルで偏相関係数を算出するための手順は以下の2つです。

1. 各データ間ペアのそれぞれの相関係数を算出

ここでは、ピアソンの相関係数を使用します。 CORREL 関数を使用して、X-Y間、X-Z間、Y-Z間のそれぞれ相関係数を算出します。

CORREL関数

第1引数と第2引数のデータ列間の相関係数を算出。

例:=CORREL(C3:C7, D3:D7)

2. 各相関係数の値を使って偏相関係数を算出

手順1で算出した相関係数の値を、偏相関係数の定義式に代入して、偏相関係数を算出します。

SQRT関数

第1引数に入れた値の平方根(ルート)を算出する。

例:SQRT(A1)

  • 第1引数 (A1): 平方根を求める値(必須)