2025/4/21

エクセルで標準誤差(SE)の簡単な求め方【コピペですぐに使える】

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はじめに

エクセルには、標準誤差(SE, Standard Error)を直接算出する専用の関数は存在しません。 既存の STDEV.S 関数と COUNT 関数、 SQRT 関数 を組み合わせることで算出できます。

下にサンプルのセルデータがあるので、 コピペですぐに使用できます。

標準誤差とは

標準誤差は、標本平均 の(母平均を基準とした)精度を示す指標です※。

サンプル(標本)データから算出される平均値(= 標本平均)が、 どの程度のブレ具合で、母集団の平均値(= 母平均)を予測しているかを示します。 標準誤差が小さいほど、標本平均母平均 を再現性良く予測できていると言えます。 サンプル数(データ数)が多いほど、標準誤差は小さくなり、 より 母平均 に近い「精度の高い 標本平均」になります。

※ 実際には、標準誤差は 平均値 以外の精度にも使用されます。 つまり、より正確に表現すると、標準誤差はサンプルから得られた「推定量 の精度を示す指標」と言えます。

いつ使うのか?

標準誤差は、 データを取得する前の実験デザイン時や データを取得した後の統計処理など、 さまざまな場面で使用されます。

たとえば、以下のような場面で使用されます:

  • 母平均 の予測(信頼区間の計算)
  • 標本平均 の精度の評価・視覚化(グラフ上でのエラーバー表示など)
  • 取得データの結果が偶然かの判定(統計的検定)
  • 必要データ・サンプル数の算出(目標の誤差からの逆算)

エクセルでの算出方法

以下の 全セルをコピー ボタンをクリックし、エクセルの A1 セルに貼り付けると、 D5 セルに標準誤差(下記の場合 3.749666652)が算出されます。

A列のデータを書き換え、 データ数に応じて D2, D3セル内の参照セル範囲を更新することで、 各自のデータにあわせて計算できます。

ABCDE
1データ
2X標準偏差=STDEV.S(A3:A7)
31サンプル数=COUNT(A3:A7)
42
53標準誤差=$D$2/SQRT($D$3)
610
721
8
9
10

算出手順

エクセルで標準誤差を算出するための手順は、以下の3つです。

1. 標準偏差を算出する

STDEV.S 関数を使用して、不偏標準偏差を算出します。

STDEV.S関数

引数の範囲のすべてのデータを用いて不偏標準偏差を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、標準偏差の算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。

例:STDEV.S(A3:A7)

  • 第1引数 (A3:A7): 評価するデータの範囲(必須)
  • 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)

STDEV.S関数か?STDEV.P関数か?

エクセルには、標準偏差を算出する以下の2つの関数が存在します。

  • STDEV.S 関数: 不偏標準偏差を算出(標本 から 標準偏差を予測)
  • STDEV.P 関数: 標準偏差を算出(母集団 から 標準偏差を直接算出)

標準誤差を算出するときには STDEV.S 関数を使用します。
なぜなら、標準誤差の算出に用いるデータは、
母集団の一部(サンプル・標本)であるはずだからです。

逆に、母集団全体のデータが取得できているのであれば、
母平均が直接わかるので、予測する必要もなく、
母平均の予測精度(= 標準誤差)を求める必要性がありません。

2. サンプル数を計算する

COUNT 関数を使用して、データ数(サンプル数)を算出します。

COUNT関数

引数の範囲のすべてのデータの数(サンプル数)を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。

例:COUNT(A3:A7)

  • 第1引数 (A3:A7): 評価するデータの範囲(必須)
  • 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)

3. 標準誤差を算出する

手順1, 2の値と、SQRT 関数を使用して、標準誤差を算出します。 標準偏差(手順1の値)を、サンプル数(手順2の値)の平方根(ルート)で割ることで、計算できます。

SQRT関数

第1引数に入れた値の平方根(ルート)を算出する。

例:SQRT($D$3)

  • 第1引数 ($D$3): 平方根を求める値(必須)