エクセルで標準誤差(SE)の簡単な求め方【コピペですぐに使える】

はじめに
エクセルには、標準誤差(SE, Standard Error)を直接算出する専用の関数は存在しません。 STDEV.S
関数と COUNT
関数、 SQRT
関数 を組み合わせることで算出できます。
下にサンプルのセルデータがあるので、
標準誤差とは
標準誤差は、標本平均
の(母平均
を基準とした)精度を示す指標です※。
サンプル(標本)データから算出される平均値(= 標本平均
)が、 母平均
)を予測しているかを示します。 標本平均
は 母平均
を再現性良く予測できていると言えます。 母平均
に近い「精度の高い 標本平均
」になります。
※ 実際には、標準誤差は 平均値 以外の精度にも使用されます。
いつ使うのか?
標準誤差は、
たとえば、以下のような場面で使用されます:
母平均
の予測(信頼区間の計算)標本平均
の精度の評価・視覚化(グラフ上でのエラーバー表示など)- 取得データの結果が偶然かの判定(統計的検定)
- 必要データ・サンプル数の算出(目標の誤差からの逆算)
エクセルでの算出方法
以下の 全セルをコピー
ボタンをクリックし、エクセルの A1
セルに貼り付けると、 D5
セルに標準誤差(下記の場合 3.749666652
)が算出されます。
A
列のデータを書き換え、 D2
, D3
セル内の参照セル範囲を更新することで、
A | B | C | D | E | |
1 | データ | ||||
2 | X | 標準偏差 | =STDEV.S(A3:A7) | ||
3 | 1 | サンプル数 | =COUNT(A3:A7) | ||
4 | 2 | ||||
5 | 3 | 標準誤差 | =$D$2/SQRT($D$3) | ||
6 | 10 | ||||
7 | 21 | ||||
8 | |||||
9 | |||||
10 |
算出手順
エクセルで標準誤差を算出するための手順は、以下の3つです。
1. 標準偏差を算出する
STDEV.S
関数を使用して、不偏標準偏差を算出します。
STDEV.S関数
引数の範囲のすべてのデータを用いて不偏標準偏差を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、標準偏差の算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。例:
STDEV.S(A3:A7)
- 第1引数 (
A3:A7
): 評価するデータの範囲(必須)- 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)
STDEV.S関数か?STDEV.P関数か?
エクセルには、標準偏差を算出する以下の2つの関数が存在します。
STDEV.S
関数: 不偏標準偏差を算出(標本 から 母 標準偏差を予測)STDEV.P
関数: 母 標準偏差を算出(母集団 から 母 標準偏差を直接算出)標準誤差を算出するときには
STDEV.S
関数を使用します。
なぜなら、標準誤差の算出に用いるデータは、
母集団の一部(サンプル・標本)であるはずだからです。逆に、母集団全体のデータが取得できているのであれば、
母平均が直接わかるので、予測する必要もなく、
母平均の予測精度(= 標準誤差)を求める必要性がありません。
2. サンプル数を計算する
COUNT
関数を使用して、データ数(サンプル数)を算出します。
COUNT関数
引数の範囲のすべてのデータの数(サンプル数)を算出する。
第2引数, 第3引数, ... を追加することで、算出に用いるデータを増やすことができる(省略可、最大引数255)。例:
COUNT(A3:A7)
- 第1引数 (
A3:A7
): 評価するデータの範囲(必須)- 第2,3,...引数 : 評価に追加するデータの範囲(オプション)
3. 標準誤差を算出する
手順1, 2の値と、SQRT
関数を使用して、標準誤差を算出します。
SQRT関数
第1引数に入れた値の平方根(ルート)を算出する。
例:
SQRT($D$3)
- 第1引数 (
$D$3
): 平方根を求める値(必須)